人生折り返し地点? 勝負はまだフィフティフィフティ!
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
●同じ業界の人間が身近にいない。都内在住のライターにくらべ人脈が途絶えがち。
・・・いろいろと地元をバカにしてしまいましたが、そもそもライターなんて低賃金な稼業なので東京で暮らすよりコスト面では恵まれてるかもしれません。
そのぶんハングリー精神にいまひとつ乏しく、そのため収入が上がらないという悪循環に陥ってるのかもしれません。
ほかに無理していいところをあげるとするならば、地元ではメディア関係で働いてる人があまりいないので、「ライターやってます」というと異常に関心を持たれたりすることでしょう。
でも、それほどたいした仕事はしてないので「何書いてるの」とか興味シンシンで聞かれてもあまり胸を張って答えることができず、「な~んだ」みたいに相手の関心が目に見えて引いていくのが分かります。お~い、帰って来いよ~。
先週だかNHKの『ドキュメント72時間』という番組で
昭和歌謡専門の中古レコード店に集まる人々のウォッチングをやっていて、
その中古レコード店が以前よく行ってた新宿のディスクユニオンだった。
ディスクユニオンは中古レコード、CD販売の大手で、新宿だけでも何店舗もあって、ひとつのビルの各フロアに違う店が入ってたりする。
それぞれ店ごとにロック、ソウル、ジャズ、クラシックなど取り扱うジャンルが別れているのだが、 昭和歌謡専門の店ができてたのは知らなかった。
最近はお茶の水の店によく行ってる。ここは洋楽邦楽取り扱っているほか古本も充実している。
★
さて、番組は3日間店に張り込んで、やってくるお客にインタビューを試みるのだが、いやー、なかなか濃いキャラのお客が多かった。
中古レコード屋なんて日常ごく当たり前に入ってるので、そんなに変わった人が集まる場所という印象もないが、
昭和歌謡というのはまた特別なジャンルなのだろうか。まあ番組でもたくさんの客に取材した中からとびきり変わった人(失礼)をピックアップしてるのだろうが。
昭和に流行した曲なので買いに来る客もわりと年輩の方が多く、カメラの前で曲にまつわる思い出などを語ったりする。
それらを聞いてると僕もいろんなCDを買い漁っているけど、この人たちみたいな思い入れはないなーとうらやましさとちょっと寂しい気持ちの両方を感じる。
たとえば自分が店で中古CDを探してるとき突然カメラを向けられたとしたら、いったい何を話せばいいのだろう。
★
3/1、武道館で行われたライブ『オールナイトニッポンALIVE ~ヒットこそすべて~
』を観てきた。フジパシフィック音楽出版創立50周年を記念し多くのアーティストが出演するイベントだ。
なんといっても参加メンバーがすごい。五十音順に、泉谷しげる・稲垣潤一・宇崎竜童・ウルフルズ・EPO・小田和正・きたやまおさむ・坂崎幸之助・Superfly・鈴木雅之・平松愛理・藤井フミヤ。敬称略が失礼すぎるような、そうそうたる面々だ。
オープニング、ステージ上には昔懐かしいラジカセ(ラジオ・カセット・テープレコーダー。ラジオとカセットテープが両方聴けて録音もできる機械です)がピンスポットに浮かび上がる。
ラジオの深夜放送に若者たちがじっと耳を傾けていた時代をしのぶようなナレーションに続きアコギの音色が会場を満たす。日本のフォークソングの原点といえるザ・フォーク・クルセダーズ「帰ってきたヨッパライ」のイントロ。演奏するのはアルフィー坂崎幸之助氏とフォークルの一員だったきたやまおさむ氏のコンビだ。
その後も次から次へとビッグネームが登場する。単独ライブですべて見ようとしたらとんでもなくお金がかかるだろう。それがまとめて見れるのだからお得感いっぱいだ。
イベントとしてはフジパシフィック50周年記念の色合いが強く、タイトルにオールナイトニッポンとうたってるのはちょっと?な気もしたが、会社の黎明期にはレコーディングにニッポン放送のスタジオも使われていたというから、これはこれでいいのかも。
70年代のフォークから80年代のニュー・ミュージックを経て90年代以降のJポップまで、ほぼ時代の流れに沿ったステージ構成。まるで日本の音楽史に立ち会っているようだ。これみんな、フジパシフィックが管理する曲なのか。失礼ながら楽曲の使用料だけでそうとうな稼ぎになるだろう。まさに音楽遺産だ。
音楽出版社というのは音楽雑誌を出している会社ではない。何をやってる会社かというと、僕も詳しくは知らないのだが、楽曲の権利を管理するのがおもな仕事らしい(レコード会社やアーティストの事務所が版権の管理を兼ねているところもある)。意外と地味でおカタい業務なのではないだろうか。
今回参加したアーティストたちも所属先はそろぞれ違うが曲の管理はフジパシフィックにお任せしてて、その関係で今回、一堂に会したという感じだ(坂崎氏だけはフジパシと縁もゆかりもないのに呼ばれたといっていた。氏のフォークに対する愛情と人徳だろう)。
みな1曲か2曲やってすぐに引っ込んでしまい、どことなく仕事上のつきあいで顔を出してる雰囲気がないでもない。顔ぶれがすごいだけに「あーもっと聴きたい!」とフラストレーションがたまりそうだ。
出演者はみな曲間のMCで「フジパシフィック音楽出版50周年おめでとうございます」とお祝いのあいさつを述べ、なんだか業界のパーティーに出席してるみたいだ。
大瀧詠一や加藤和彦を偲ぶコーナーを途中にはさみながらコンサートはいよいよ佳境。ウルフルズやSuperfryなど最近のバンドの登場で客席も盛り上がる。
始めて観たウルフルズはウルフルケイスケのステージアクションがかっこよかった。トータス松本は気のせいか、ちょっと元気ないように見えた。MCで「今日は大物ぞろいで自分なんかペーペーもいいところ。後輩はSuperflyしかいない」とこぼしていた。元気なく見えたのは大先輩ばかりで委縮してたのかな?
50代のウルフルズと1984年生まれの越智志帆が所属するSuperfryのあいだに誰もいないってことはJポップ界は30代、40代の人材が手薄ってことを意味するのだろうか。んなこともないだろうけど。
きたやまおさむ氏がステージで「かつてのフォークはアマチュアっぽかったがいまは、演奏もうまくてプロみたいだ」みたいなことを語っていた。
れっきとしたプロがやってるのだから矛盾した発言にも聞こえるが、言われてみればたしかにむかしのフォークはプロっぽく完成されてないところに存在理由があったかもしれない。
半世紀のあいだに曲や演奏は洗練され、より「商品」として完成度を増したが、それはいいことだったんだろうか。かつてのフォークルの曲「こぶのないらくだ」が最近のヒットよりもずっと新鮮に聴こえた不思議。
フィナーレは出演者全員で「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌ったが、最初の方で「春夏秋冬」1曲演ったあと「俺はもう帰る」といってギターを放り出してった泉谷しげる氏は、ほんとに現れなかった。まあ泉谷さんらしくていいかw
全体のラインナップを見ると、素朴でおとなしめな昔のフォークからサウンドも派手な最近のヒットまで、幕の内弁当的というか多少バラつき感は否めない。
お客の側も年代層が広く、懐かしのフォークが目当ての人、ウルフルズやSuperflyで盛り上がりたい人、とさまざまなので、未知のジャンルやアーティストの曲には若干ノリきれてなかったようだ。
いずれにせよ半世紀を越えた日本のポップスは大いなる遺産。終演後、会場に流れるビタースイート・サンバ(説明不要のオールナイトニッポンのテーマ)を聴きながら、リスペクトの思いを新たにした。